こんにちは。コワニブログです。
よく「6時間たったからさすがに導尿しないといけない」といったことを、言っている先輩看護師を見た経験・言われた経験がある新人看護師さんや看護学生さんがいるのではないでしょうか。
おしっこの管を入れるという苦痛な処置を実施するには、必要性をしっかりと理解して説明することや、排尿のアセスメントも大切になります。
今回はおしっこ(排尿)がないまま放置しているとどうなるのか、実用的な導尿の手順などについて簡単に解説します。
先輩看護師は教えてくれない「排尿」のアセスメントが少し得意になる内容です♪
膀胱留置カテーテルについて知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
クリックで飛べる目次もご活用いただけます。
排尿の正常と異常
排尿の正常
数値で見る排尿の正常
- 膀胱容量は400~500mL
- 100~150mLで最初の尿意(我慢できる)
- 250mL~300mLで我慢できなくなり排尿が必要となる(最大尿意)
- 1日の排尿量は1000mL~1500mL
- 1日の排尿回数は4~6回
尿意を感じるメカニズム
排尿の異常
症状 | 主な原因 | |
乏尿 | 400ml/日以下 |
腎前性(ショック・脱水) 腎性(急性尿細管壊死) 腎後(両側尿路閉塞) |
無尿 | 100ml/日以下 | |
尿閉 | 排出不能 |
神経障害 尿路の閉塞・狭窄 |
多尿 | 3000ml/日以上 | 尿崩症、糖尿病 |
頻尿 | 8回/日以上 |
前立腺肥大による 膀胱刺激・残尿の発生 多尿 過活動膀胱 膀胱炎 膀胱容量減少 |
尿閉では、緊急の導尿処置が必要となります。
排尿のアセスメント
排尿の正常と異常を踏まえて、アセスメント方法を解説します。
膀胱容量は400~500mLなので、1回の排尿量が500mLであれば導尿間隔を短くする必要がありそうです。
また、人の排尿間隔は一定ではなく、食事・水分摂取後、経管栄養後に増えます。前回の導尿から何時間経過した時点で何mlの排尿があったのか、腹部の膨満や自覚症状、インアウトバランスなどを合わせて考えながら、排尿パターンに合わせて導尿を行いましょう。
上記より計算すると一般的には4~6時間以上排尿がなければ導尿を検討する必要がありそうです。
膀胱留置カテーテル抜去後であれば3~5時間以内に自然排尿(自尿)があるため、抜去後5~6時間経過しても排尿がなければ注意しましょう。
緊急で導尿が必要な状態『尿閉』って?
尿閉とは
尿閉とは、尿が膀胱に多量に貯まっていて尿意があるのに排尿できない状態です。
そもそも膀胱に尿が貯まっていない無尿との鑑別が大切になります。
尿閉の原因
下部尿路通過障害
排尿の時には膀胱が収縮して膀胱の出口が開くことが必要ですが、膀胱が収縮しても何らかの原因で膀胱の出口が十分に開かないと排尿ができません。
下部尿路通過障害の代表が前立腺肥大症で、膀胱の出口を肥大した前立腺がふさいでしまい起こります。
前立腺は男性にしかありません。
膀胱の神経障害
膀胱の働きをコントロールしている神経に障害があると、膀胱の収縮が不十分になり尿が出ないことがあり、これを神経因性膀胱と言います。
糖尿病や脊髄損傷、直腸がんや子宮がんの術後などがあります。
薬剤
膀胱の収縮力を弱める薬(副交感神経遮断薬、平滑筋抑制薬、βアドレナリン刺激薬)や、膀胱出口の圧を高める薬(αアドレナリン刺激薬やβアドレナリン遮断薬)で尿閉が起こることもあります。
心因性
ベッドで寝たまま排尿することに慣れていない人などは尿が出なくなることがあります。導尿は感染リスクもあるため、トイレへ行けないのかアセスメントして場合によっては上司やドクターに交渉できるといいでしょう。
尿閉を放置するとどうなるの?
尿は体の老廃物を体外に排出するためのものです。
尿閉になると、腎臓から膀胱にかけての通り道が滞り、腎臓が腫れてしまいます。それを長期間放置すると、水腎症や腎盂腎炎となり腎機能が低下、命の危険があります。
また、膀胱の過伸展による膀胱機能の低下、膀胱壁の血流障害から細菌感染リスクが高くなります。
尿閉の症状
- 排尿できないことによる苦痛から、頻脈・血圧上昇が起こる
- 500mL以上の尿が貯まると下腹部の膨隆や緊満を認め、下腹部を圧迫すると痛みが出現する
- 尿の膀胱内停留による腎盂腎炎があると発熱や腰痛がみられる
腹部膨満=自覚症状としてお腹が膨れた感じ。ソフト。
腹部膨隆=明らかに腹部が突出している
腹部緊満=腹壁がハード、膨らみすぎて皮膚が張り切っている
一持的導尿の手順(実用的ver)
導尿は一時的に尿を排出したいときと、滅菌尿の検査目的で行われます。
手順はほとんど持続的導尿と同じなので、異なる部分だけを抜粋しました。
『膀胱留置カテーテルの挿入』をはじめに覚えて、『一時的導尿』に発展させて理解すれば簡単です。
必要物品
持続的導尿との1番の違いはカテーテルの太さです。
一時的なので閉塞リスクがすくないため、一般的には苦痛が少ない1番細いカテーテルを使用します。
後は、キットはないため自分で消毒や潤滑剤を準備しましょう。
環境、患者さん、自分の準備も持続的導尿と同じです!
実際の手順
- 尿器とビニール袋をセット
- 消毒薬を綿球で浸したのち、取り出しやすいよう開封しておく
- カテーテルの袋をカテーテルに触れないようにあける
- 滅菌手袋を清潔操作であける
- 滅菌手袋の内側やカテーテルの袋の内側など滅菌の場所に潤滑剤を出す
- 滅菌手袋を装着して挿入部の消毒実施
- カテーテルに潤滑剤をつける
- カテーテル末端を尿器に入れる
- 挿入する
女性の場合
3~4cm挿入して尿が全て出たら、さらに1~2cm挿入する
※10cm挿入しても尿がなければ膣の可能性あり、カテーテルを交換して再挿入します。
男性の場合
挿入後尿が出たら、陰茎を自然な位置に下げて尿を流れやすくします。
- 利き手でない手で下腹部を恥骨結合に向かって軽く圧迫し、残尿の有無を確認。
- ゆっくりとカテーテルを抜く
- 消毒をふき取り片付けて終了
- 記録
尿の流出状況、尿量、尿の性状、患者の状態や訴え
まとめ
- 尿閉を放置すると命の危険もある。
- 4~6時間以上排尿がないときは注意
- 手技はほとんど持続的導尿と同じです
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