一般的な成人患者をみていると、点滴は80ml/hの指示を見かけることが多いですが、小児であれば話は変わります。
小児の輸液量や速度はなぜ成人と異なるのか、ルートはなぜ使い分けられるのか、点滴の計算方法などを説明します!
※高齢者、疾患、治療、病態によって指示速度は異なりますので、あくまで一般的な場合について記載しています。
どうして成人と小児の輸液の速度は違うの?
小児の点滴の計算方法が知りたい
成人と小児のルートが違うのは何で?
そもそも成人の輸液速度はなぜ80ml/hなの?
輸液は失われる予定分を補給するのが原則です。
成人の輸液量は1日の水分喪失量と同じ、40ml/kg/日が目安となります。
これを時間単位に直すと、1kgあたり1.6666ml/hとなり、体重48kgの人でちょうど80ml/hとなります。
小児の輸液速度の算出方法
小児は成人よりも、体の水分量の割合が高く不感蒸泄・尿量が多いという特徴があります。
そのため、小児の体重当たりの1時間の輸液量は、1歳で4ml、3歳で3ml、9歳で2mlとなります。
小児の平均体重1歳9kg、3歳13kg、9歳30㎏を用いて計算すると
1歳36ml/h、3歳39ml/h、9歳60ml/hとなります。
以下にまとめました。
- 小児の方が体重当たりの必要水分量が多い
- しかし、体重は成人よりも小さいため1時間あたりの必要水分量は成人よりも少なくなる
- 1時間当たりの必要水分量が少ないので、成人の輸液よりもゆっくり投与することになる。
実際に3歳の子どもは40ml/hで指示が出ることが多く、ほぼほぼこの計算の通りになっています。
逆に言えば、小児は小児でも、成人と同じような体格の中学生や小学生であれば、成人のパス(治療方針マニュアル)が利用されることもあります。
体重当たりの必要な水分量は、小児の方が大きい
成人と小児のルートの使い分け
成人用輸液セットは1mLで20滴の輸液が、小児用輸液セットは1mLで60敵の輸液が滴下できます。
つまり、小児の患者に対して誤って成人用ルートを使用すると、3倍の速度で体内にはいることになるため注意が必要です。
逆に、高齢者や腎機能が低下している患者さんであっても、滴下を合わせやすくするために小児用ルートを使用することがあります。
多くの場合は小児=小児用ルートと覚えておけば問題ないです。
単純に、その方が滴下を合わせやすいからです。その根拠も、実際に計算してみました。
もし早く投与してしまったらどうなるの?
心臓や腎臓への負担、肺水腫などの重大な事故にもつながる恐れがあります。
実際に計算してみよう
Q.500mlを60ml/hの指示、小児用ルートで投与する時1秒間の滴下数は?
小児用ルートは1mlに60滴滴下できるので、
500mlだと500✖60=30000滴全部で落としたい。
500mlを全て落とすには、60ml/hの速度だと
500ml÷60=8.33時間かかる。
30000滴/8.33hだから
3614滴/時間
=60滴/分
=60滴/60秒
=1滴/1秒
A.答えは1滴となります。
ちなみに、これを成人用ルートで投与した場合は1秒間に0.3滴となります。
500×20滴=10000滴
10000÷8.3h÷60÷60=0.33滴/秒
これだと、滴下が合わせにくく事故のもとになることは一目瞭然ですね。
こういった理由から小児には小児用ルートを利用するのです。
まとめ
- 小児は体重当たりの必要水分量が多い
- 小児の輸液速度は成人よりもゆっくりが原則
- 小児には小児用ルートを使おう
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