点滴ルートに空気が混入することで肺塞栓などのリスクがあります。
しかし、どのくらいの混入で危険があるのかはご存じない方もいるのではないでしょうか。
新人の頃は、エア抜きの方法から試行錯誤し、少しでも空気が入ったら危ない、という誤った認識をしていました。
また、患者にとっても看護師に空気を入れられたまま抜いてもらえず、大丈夫なのかと不安になった経験がある方もいるのではないでしょうか。
今回は、点滴内に混入したエア(空気)について、むやみに恐れることはない理由についてまとめました。
お急ぎの方はクリックでとべる目次をご活用ください。
点滴ルートのエアー抜きの方法や空気が入った時の対処法を知りたい!
点滴ルートにエアー(空気)が混入!入るとどうなるの?
点滴に空気が入っても大丈夫?
点滴で空気塞栓がおこる理由、メカニズムは?
点滴ルートへの空気混入で起こりうるリスク
ルート内のエアが、血管内に入ることで空気塞栓が生じ、肺塞栓、脳塞栓、冠動脈塞栓に繋がる恐れがあります。
空気塞栓とは
侵入した空気により血管が閉塞すると、胸痛、チアノーゼ、血圧低下、頻脈がおこり、意識レベルの低下から失神をきたすことがあります。
塞栓症のメカニズム
解剖学的な肺塞栓のメカニズムです。
解剖図を思い出してください。
空気が血管に入る→静脈内を血液と流れる→右心房→右心室→肺動脈
肺は血液と吸い込んだ空気の間で、酸素と二酸化炭素を交換しますが、気泡は大きく、肺の毛細血管を通過できずに詰まってしまい、急激な呼吸不全やショックをきたします。
また、心臓にシャント(右心房と左心房の交通)があると、脳塞栓や脳梗塞の原因になることがあります。
ルート内への空気混入はどのくらいだと危ないの?
安全限界は10mLです。
10mLシリンジを思い出してもらえばわかると思いますが、これがルートに入ったとするとかなりの量になります。
ルートの長さは通常、内径2.28mm(0.028cm)であるため、
1cm当たりの場合
1.14✖1.14✖3.14✖0.01=0.04mL
これが10mLだとどのくらいの長さ入っていることになるかというと、
10÷0.04=250cmとなります。
通常ルートの長さは、120cmですから、仮にルートいっぱいに空気が入っていても問題ない計算となります。
以上の計算から、少しくらいの空気であれば問題ないということがお分かりいただけたのではないでしょうか?
では、もし点滴内の薬剤がなくなったことに気が付かずに空気がどんどん入っていったら危ないのでは?という疑問が生まれますが、その心配はありません。
静脈のほうがルートよりも圧力が高いため、血液が逆流することはあっても空気が血管に入ることはありません。
それでもエア抜きをすべき理由
点滴ルート内に10mlまでの空気なら入っても問題ないと話しました。
しかし、空気が入っているのを見つけたら、必ずエア抜きをするようにしましょう。
なぜなら、医療知識のない患者であれば、空気が体内に入っていくのを見過ごされることで、不安や医療者への不信感につながりかねません。
それに、知識のある医療従事者でも空気が自分の体に入っていくのをみて、いい気はしないですよね。
もちろん、時間がなく対応できないという場合に備えて、事前に説明しておくことも大切です。
エア抜きの方法
クレンメ(クランプ)より上に空気が入った場合
必ずクレンメを閉じて行います。
気泡の場合は指ではじくと自然と点滴筒に空気が戻っていきます
大きめの空気や数が多ければ、ボールペン等の細長いものにルートを巻き付け、空気を点滴筒に押し出すようにしごくと、戻っていきます。
クレンメより下に入った場合
三方活栓の患者側を閉じる。アルコール消毒をしてシリンジをつなぎ、クレンメを開放して、シリンジで空気を取り除く。
まとめ
- ルート全体に空気が入っていても問題はない
- エアがあれば、なるべく抜こう
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