仕事や実習で睡眠薬を取り扱うけれど、いろいろありすぎてよく分からない、忙しくて学習する間もない人に向けて、よく取り扱う睡眠薬のメカニズム(作用機序)や注意点(副作用)、そもそもベンゾジアゼピン系薬剤とは何かについて、簡単に解説していきます。
アセスメントや関連図にもご活用いただける内容となっております。
普段はお仕事以外でも役立つ情報や、看護については看護カテゴリから一覧見れるようになっています♪
お急ぎの方はクリックでとべる目次をご活用ください。
睡眠薬の注意点や副作用を知りたい
よく使う眠剤の特徴を知りたい
非ベンゾジアゼピン系との違いは?
睡眠薬(不眠)の看護計画やアセスメントに役立てたい!
睡眠薬で転倒リスクが起こるのはなぜ?対策は?
せん妄を起こしにくい睡眠薬は?
せん妄を起こしやすい薬剤や眠剤は?
ベンゾジアゼピン系薬剤とは
抗不安・鎮静・催眠、筋弛緩・抗痙攣作用をもちます。
抗不安効果のより強いものを抗不安薬、催眠効果の強いものを睡眠薬と呼び、作用時間の違いにより分類。
副作用は依存性、眠気、筋弛緩作用によるふらつき、転倒、一過性健忘、呼吸抑制です。
ω1 鎮静・催眠作用
ω2 筋弛緩・抗不安作用
ベンゾジアゼピン系薬剤は、脳のベンゾジアゼピン受容体(ω1とω2)に作用することで、脳をリラックスさせるGABAの働きを高めて、上記作用を発揮します。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の副作用
精神的・身体的緊張を解くことでリラックスさせる作用がありますが、リラックス効果が意識レベルを低下させ、せん妄リスクに。
また、ベンゾジアゼピン系薬剤はω2にも作用することで、筋弛緩作用によるふらつきが出現しやすくなるため転倒リスクがあります。
特に高齢者では生理機能が低下しており薬が蓄積しやすく、感受性の亢進から、若年者よりも作用時間が長くなりやすいので注意が必要です。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の分類
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お薬例 |
効果発現時間 |
持続時間 |
適応 |
超短時間型 |
15-30分 |
2-4時間 |
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短時間型 |
15-60分 |
6-12時間 |
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中間型 |
30-60分 |
12-24時間 |
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長時間型 |
穏やかに効果出現 |
24時間以上 |
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の持ち越し効果
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の効果が翌朝まで残り、眠気、ふらつき、頭痛、倦怠感、脱力感、構音障害(どもる)がみられることがあります。
作用時間が短ければ体内から早く排出されるので、翌朝の眠気やふらつきも少ないですが、作用時間が長いと、効果が持続しやすいので注意しましょう。
中間型、長時間型で出現しやすいため、超短時間型、短時間型を使うか減量します。
車の運転などに注意!
非ベンゾジアゼピン系薬剤とは
ω1 鎮静・催眠作用
ω2 筋弛緩・抗不安作用
非ベンゾジアゼピン系薬剤はω2にはほとんど作用しないため、シンプルな睡眠薬として利用でき、ベンゾジアゼピン系睡眠薬よりも筋弛緩作用による転倒リスクが低いです。
有名な睡眠薬の特徴
マイスリー(ゾルピデム)
ω1受容体選択性が高いため、筋弛緩作用による転倒リスクが低い
アモバン(ゾピクロン)
内服した時から翌日まで、口腔内のにがみが出現することがあります。
→料理人など味覚が重要な人には避けましょう。
※こを改良したのがルネスタ(エスゾピクロン)です。苦みがアモバンよりも軽減されていますがゼロではありません。
レンドルミン(ブロチゾラム)
入眠困難な人に効果があり、夜間覚醒時に頻回使用できます。
ロゼレム(ラメルデオン)
従来にない新しい効き方をする。
ベルソムラ(スボレキサント)
CYP3Aで代謝されるため、CYP3Aを強く阻害するクラリスロマイシンなどとの併用禁忌が多く扱いにくい。
他の睡眠薬に比べて悪夢をみやすいです。
まとめ