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輸血による副作用はいつまで観察必要?症状と対策を解説!看護

輸血の副作用として最も多いのがアレルギー反応ですが、その他にも重要な副作用がいくつかあります。

GVHDや細菌感染など、知っておくことで日々の看護に活かせることも多くあると思い、新人看護師さん、看護学生さん向けにもわかりやすくまとめています。

 

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輸血の副作用って何がある?

輸血の副作用としては、蕁麻疹(約半数)、血圧低下、呼吸困難、掻痒感などのアレルギー反応が多いです。(免疫学的副作用)

その他、重要な副作用は以下のようにまとめました。

赤血球を主体とした溶血性副作用、それ以外の白血球、血小板、血漿タンパクが原因となる非溶血性副作用の大きく分けて2つに分類されます。

 

溶血性 非溶血性
急性溶血 遅発性溶血 免疫学的副作用 非免疫学的副作用
ABO型不適合輸血 不規則抗体 GVHD TACO
24時間以内 数日以内 1~2数週間 6時間以内

 

順番に解説します!

 

輸血の副作用症状と対策は?

溶血性副作用

溶血性副作用は、発生時間により急性溶血性副作用(輸血後24時間以内)と遅発性溶血性副作用(輸血後24時間以降)に分類されます。

溶血性副作用は、輸血された赤血球の膜が破壊されることで起こり、赤血球の内容物が放出されて、連鎖的に溶血が進み死に至ることがあります。

患者の持つ抗体と、輸血バッグの赤血球膜の抗原が反応して起こり、ABO血液型不適合輸血や不規則抗体(Rh-にRh+の血液を輸血)などで起こります。

 

不規則抗体がよく分からない方は、以下記事で詳しく解説しました!

kowaniblog.hatenablog.com

 

 

 

 

急性溶血性副作用
  • ABO型不適合輸血が大半で、24時間以内に発生する。
  • ABO型不適合輸血は、異なる血液型を輸血することで起こる。
  • 頻度は少ないが発生すると致死的に。
  • 溶血後、サイトカインの過剰産生、腎不全、DICが起こる。

 

症状
  • 発熱、悪寒、腹痛、胸痛、穿刺部位の熱感、疼痛、浮腫、息切れなどの様々な症状が一気に出現する場合、ABO不適合輸血の可能性が高い。
  • ヘモグロビン尿、Hb低下、LDH上昇などの溶血症状を経て、DICによる急性腎不全によるカリウム上昇から、心室細動による心停止を引き起こす。
対処
  • 輸血を中止し乳酸リンゲル液の急速投与で利尿を図る。
  • 全身状態をモニター、尿量100ml/時以上確保するため利尿剤投与。

 

 

遅発性溶血副作用
  • 不規則抗体が原因で、2度目以降の輸血で起こる。
  • 輸血後3日~14日程で発生する。
  • 抗体が結合した輸血赤血球の血管外破壊が起こる。

 

症状
  • 貧血、発熱、黄疸、血色素尿
  • 稀に、腎不全・DIC→死亡
対処
  • 通常は無治療で経過観察するが、腎機能所見に注意する。

 

 

非溶血性副作用

非溶血性副作用は、輸血副作用の中で最も多く、その要因によって免疫学的副作用と非免疫学的副作用に分けられる。

免疫学的要因には、発熱反応(発熱、悪寒戦慄)、アレルギー反応(蕁麻疹、掻痒感)、輸血関連肺障害(TRALI)、輸血後紫斑病(PIP)、輸血後移植片対宿主病(GVHD)があり、非免疫学的副作用には、輸血関連循環過負荷(TACO)、細菌感染症、輸血後感染症などがある。

免疫学的副作用

発熱

  • 輸血中または2時間後に、38度以上または1度以上の体温上昇がある場合

 

アレルギー反応

  • 輸血副作用で最も多い。
  • 免疫は、異物(抗原)を排除するための生理機能だが、特定の抗原に対して過剰な反応を示すことがあり、この過剰反応をアレルギー反応(蕁麻疹、掻痒感、血圧低下、呼吸困難)という。
  • さらに、呼吸器・心血管系の症状を伴い血圧低下や意識障害をきたす全身性のものをアナフィラキシーという。
  • 抗ヒスタミン剤ステロイドの予防投与は30~60分前に実施する。(明確なエビデンスはない)

 

 

輸血関連肺障害(TRALI)

  • 輸血後6時間以内に起こる。
  • 非心原性の肺水腫により急性呼吸不全をきたす。
  • 明確な原因は不明。
  • 輸血開始後、急激な呼吸障害があれば、輸血を中止して酸素投与を実施する。

 

 

輸血後紫斑病(PTP)

  • 輸血後5日から12日で発症。
  • 製剤の血小板抗原に対する患者の抗体によりおこる血小板減少症。
  • 患者自身の血小板も急激に減少して、出血傾向(血尿、粘膜出血、全身に出血班)がおこる。
  • 治療として、IVIG(免疫グロブリン療法)、ステロイド大量投与、血漿交換が行われる。

 

輸血後移植片対宿主病(GVHD

  • 輸血したリンパ球が、輸血を受けた人の骨髄や肝臓を攻撃してしまう。

 

症状

 発熱・紅斑→肝障害・下痢→出血・感染症死亡率90%以上)。

対処
  • 全血輸血を避ける
  • 可能なら自己血輸血を行う
  • 血液製剤放射線照射を行い、リンパ球を不活化

 (血液バッグのIr=照射済みという意味)

  • 日本では血漿製剤以外の血液で放射線照射を実施している

 

照射血液は腎機能の低い人には使用しにくい !

放射線を照射し輸血用血液製剤の中に残っているリンパ球を破壊することでGVHDの発症を予防できるようになった。 しかし、赤血球製剤のカリウム値は保存に伴い上昇、特に放射線照射後にその速度が増加することから、腎機能が悪い人や大量輸血などのハイリスク患者では、カリウム濃度の急速な上昇により心停止を起こすことがある。

 

非免疫学的副作用

輸血関連循環過負荷(TACO)

  • 輸血直後から6時間以内に発生
  • 心原性肺水腫から呼吸困難をきたす
  • TACOの危険因子には、輸血量と輸血速度に注意し、輸血中に十分観察する。

 

TACOの危険因子
  • 心・腎機能障害
  • アルブミン血症
  • 輸血前からの循環過負荷(輸血・輸液過剰)
  • 高齢者
  • 低体重
原因
  • 輸血速度が速すぎる
  • 輸血量が多い
症状

 呼吸困難、高血圧、頻脈

対処

 輸血の中止、人工呼吸器管理、利尿剤

 

細菌感染症

 

症状

発熱(38度以上、2度以上の上昇)、悪寒、戦慄、収縮期血圧の変化(30mmHg以上の増加または減少)。

対処
  • 有効期限の確認
  • 外観確認(正常な赤血球は暗赤色だが、細菌感染すると黒色になることがある。)

 

輸血後感染症

  • HBV,HCV,HIVなどがある。
  • 献血者がウイルス感染直後の感染ごく初期の場合、検査でウイルスを検出できない時期(ウインドウピリオド)が発生するため、完全にゼロにはできない。

 

まとめ

  • 輸血の副作用にはアレルギー反応が多い
  • GVHD予防に血液製剤放射線照射する
  • 副作用予防のため、輸血前の薬剤、血液型、血液バッグの見た目などの確認を行う

 

 

 

 

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